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Googleマップの写真を月4枚足す手間は、仮の式場で年4.5万円。見学が年0.11件増えれば元が取れる。怖いのは枚数ではなく、実物との差だ

結婚式場の名前を検索すると、右側か上のほうに、地図と写真が並んだ枠が出ます。Googleビジネスプロフィールと呼ばれるもので、二人が公式サイトを開く前に、まずここで会場の外観や会場内の写真を見ることがあります。

この枠の写真を、誰がどれくらいの頻度で足すか。多くの式場では、開設したときに数枚入れたきりで、担当も決まっていません。

結論を先に書きます。年300組が来館する仮の式場で計算すると、スタッフが月に4枚ずつ足す運用の手間は年4.5万円ほどです。検索経由の見学が年に0.11件増えれば元が取れます。プロの撮影を年1回入れても15万円で、0.36件で足ります。費用の側は、どちらも軽いです。

ただし、損益を動かすのは費用ではありません。写真と実物のあいだに差があって、見学に来た二人ががっかりしたとき、成約率が1ポイント落ちるだけで年84万円が消えます。写真の運用で決めるのは、枚数よりも「実物より良く見せていないか」です。

この記事の数字は、すべて僕が置いた仮のものです。出典のある調査の数字は使っていません。検索経由の見学が何件あるか、写真でどれだけ増えるかは、各会場のアクセス解析と予約フォームの流入元を見ないと分かりません。自分の会場の数字に置き換えて使ってください。

仮の式場を置く

前提を書いておきます。

  • 年間の来館は300組。成約率は30%で、成約は90組
  • 粗利は1組140万円
  • 見学1件が持つ期待粗利は、0.3×140万円で42万円
  • Googleのプロフィールを見て見学の予約に進む二人は、年60件(来館の2割)
  • 人件費は1時間あたり2,500円

この60件は、あくまで置いた数字です。予約フォームの「何を見て予約しましたか」の欄や、プロフィールの管理画面に出る「ウェブサイトのクリック」「経路の検索」「通話」の数から、自分の会場の数字を出せます。ここが10件の会場もあれば、150件の会場もあるはずです。

また、見学1件の期待粗利42万円は、ほかの記事でも使っている「来館→成約30%」の置き方と同じです。プロフィール経由の二人が、ほかの経路の二人と同じ確率で決めるとは限りません。ただ、ここでは同じと置いて、損益の形だけを見ます。

運用は3つに分けて数える

写真の運用は、手間のかけ方で3つに分けられます。

1つ目は、スタッフが月に4枚ずつ足す運用です。挙式の準備ができたチャペル、季節の庭、試食で出す料理、装花など、そのとき会場にあるものを、スマホで撮って入れます。撮影と選別と投稿で、月1.5時間かかるとします。年18時間、人件費は4.5万円です。

2つ目は、プロのカメラマンに年1回、外観・チャペル・宴会場・料理を撮ってもらう運用です。費用は15万円と置きます。

3つ目は、両方です。プロの撮影を年1回と、スタッフの月4枚。合わせて19.5万円です。

プロの撮影を年2回にすると、30万円に月4枚の4.5万円を足して34.5万円です。春と秋の庭を撮りたい会場などが、この形になります。

元が取れる線は、見学が年0.1〜0.8件増えること

見学1件の期待粗利42万円で、それぞれの費用を割ります。

運用 年の費用 元が取れる見学の増加 60件に対する割合
スタッフが月4枚 4.5万円 0.11件 0.18%
プロの撮影を年1回 15万円 0.36件 0.60%
プロ年1回+月4枚 19.5万円 0.46件 0.77%
プロ年2回+月4枚 34.5万円 0.82件 1.37%

見学が年に1件増えれば、いちばん重い運用でも元が取れます。年300組の式場にとって、年間で1件の見学です。

では、見学の増加が年0.5件、1件、2件、3件だったとき、年間の損益はどうなるか。単位は万円です。

見学の増加 月4枚 プロ年1回 プロ年1回+月4枚 プロ年2回+月4枚
年0.5件 +16.5 +6.0 +1.5 -13.5
年1件 +37.5 +27.0 +22.5 +7.5
年2件 +79.5 +69.0 +64.5 +49.5
年3件 +121.5 +111.0 +106.5 +91.5

見方はこうです。写真を足すことで、年に1件でも見学が増えるなら、どの運用でも黒字です。年0.5件しか増えなくても、年2回の撮影までやらなければ黒字になります。

つまり、費用だけを見れば、写真は悩む額ではありません。「写真の予算を通すかどうか」の会議は、本来は短く終わるはずの話です。

増えるかどうかは、測れない

ただし、見学が年に1件増えたかどうかを、数字で確かめることはできません。年60件が61件になったかを見分けるには、ふだんの揺れが大きすぎます。月に5件前後の予約が、翌月に3件になることも、7件になることも、普通にあります。

測れないものは、効果を当てにせず、損益の形を先に決めておきます。上の表が言っているのは、次の2点です。

  • 費用が小さいので、増える見学が年1件に届かなくても、月4枚の運用なら黒字に近い
  • 費用が大きい運用(年2回の撮影)は、年1件を切ると赤字になる

だから、写真の予算は「効果が出るまで待つ」ではなく、費用の小さいほうから始めて、続けられる範囲で決めるのが堅いと僕は考えています。

損益を動かすのは、写真と実物の差

ここまでは、写真が見学を増やす側の話でした。もう1つ、見ておきたい計算があります。写真が実物より良く見えていて、来館した二人ががっかりする場合です。

プロの撮影は、広角のレンズで、いちばん光のいい時間に、人のいない会場を撮ります。写真としてはきれいですが、会場が実際より広く見えることもあります。二人が来館して「写真のほうが広かった」と感じたとします。

その差のせいで、見学に来た二人の成約率が下がるとします。プロフィール経由の見学が年60件のとき、成約率が1ポイント下がると、60×0.01×140万円で84万円の損失です。0.5ポイントなら42万円、2ポイントなら168万円です。

プロフィール経由の見学の件数ごとに、損失の幅を出します。単位は万円です。

成約率の低下 見学30件 見学60件 見学120件
0.5ポイント 21 42 84
1ポイント 42 84 168
2ポイント 84 168 336

見るのは次の点です。年15万円のプロの撮影が、成約率を0.18ポイント落とすだけで消えます(15万円÷60件÷140万円)。月4枚の運用なら、0.05ポイントです。

写真を足して見学が増えても、増えた分の二人が写真との差で決めなければ、損のほうが大きくなりえます。見学が年1件増えて42万円を得る一方で、成約率が1ポイント落ちて84万円を失えば、差し引き42万円の赤字です。

ここも、成約率が0.5ポイント動いたかどうかは、年300組では確かめられません。やはり測れないので、写真の撮り方のルールを先に決めておくほうが堅いです。

実物との差を小さくする、撮り方のルール

差を小さくする方法は、考え方としてはいくつか挙げられます。

  • 広角で撮るなら、同じ場所を標準の画角でも撮って、並べて入れる。会場の広さは、正面から人が立った目線で見える範囲を載せる
  • 人のいない会場だけでなく、ゲストが入った状態の写真も入れる。席を埋めた宴会場のほうが、二人は人数の感覚をつかみやすい
  • 季節の庭は、その写真を撮った月を、投稿の説明に書く。冬に来た二人が、夏の緑の写真と比べてがっかりするのを避けられる
  • 改装した場所は、改装前の写真を消す。残すと、二人は新旧どちらが今の姿か分からなくなる
  • 料理の写真は、実際に出す盛りつけで撮る。撮影用に盛ったものは、別のものとして扱う

僕の経験則の部分もあり、これらが成約率にどれだけ効くかは分かりません。ただし、費用はほとんどかからず、損益の「怖いほう」を小さくする手です。

スタッフが足す月4枚の、続け方

続けられるかどうかも、運用の損益に入ります。月4枚の運用は、担当が決まっていないと止まります。

  • 担当は1人に決める。ほかのスタッフは、撮った写真をそのスタッフに送るだけにする
  • 撮る日を固定する。たとえば、毎月第1水曜の朝の見学前、準備ができた状態の会場を撮る
  • 投稿するのは、月4枚まで。それ以上は、続かなくなる原因になる
  • 写り込んだゲストやスタッフの顔は、載せない。契約書に写真の掲載の同意欄がある会場でも、プロフィールに載せる写真は、人が写らないものから始める

担当が辞めたり、異動したりすると止まります。止まったときに困らないよう、撮る場所のリストと、前回までに載せた写真の一覧を、共有のフォルダに置いておきます。

プロの撮影を入れるなら、いつ入れるか

プロの撮影を入れるなら、費用より先に、撮る時期を決めます。

  • 写真が古くなっている会場は、早めに入れる。5年前の外観と内装のまま、改装後の姿が載っていないなら、二人は古い姿を前提に来館します
  • 改装の直後に入れる。1回撮れば、数年は使えます。年1回で15万円という置き方は、毎年やる前提ですが、改装の年だけ撮るなら、年あたりの費用はもっと小さくなります
  • 繁忙期の直前を狙うなら、季節の庭が見頃の月に合わせる

また、プロの撮影は、公式サイトや広告の素材にも使えます。プロフィールだけの費用として数えると、重く見えます。写真の使い道が増えるほど、1枚あたりの費用は軽くなります。

写真を足さないほうがいい場合

足さないほうがいい場合も、書いておきます。

  • プロフィール経由の見学が年10件を切る会場。月4枚の4.5万円が元を取るには、見学が0.11件増えればよいので、損にはなりにくいです。ただ、そもそも経由が少ないなら、写真より先に、予約の導線を見直すほうが効きます
  • 写真の内容が、実物とすでにずれている会場。足す前に、古い写真を消して、実物に合わせるほうが先です
  • 担当が決まらない会場。続かない運用は、費用だけが残ります

まとめ

  • Googleビジネスプロフィールの写真を月4枚足す運用は、年300組の仮の式場で年4.5万円。検索経由の見学が年0.11件増えれば元が取れる。プロの撮影を年1回入れても15万円で、0.36件でよい
  • 見学が年1件増えれば、年2回の撮影まで含めても黒字になる。費用だけを見れば、悩む額ではない
  • 増えたかどうかは、年300組では数字で確かめられない。費用の小さいほうから始めて、続けられる範囲で決めるのが堅い
  • 損益を動かすのは、写真と実物の差。成約率が1ポイント下がるだけで、検索経由の見学60件のとき年84万円が消える
  • 差を小さくするには、標準の画角と広角を並べる、ゲストが入った状態も載せる、撮った月を書く、改装前の写真を消す
  • 月4枚は担当を1人に決め、撮る日を固定する。止まったときの引き継ぎ用に、撮影場所のリストを残す
  • 数字はすべて仮置き。自分の会場では、プロフィールの管理画面のクリック数と、予約フォームの流入元の欄から、検索経由の見学件数を出すところから始める