来館・成約

駐車場が50台あっても、披露宴が2組重なるフェア日は52台要る。満車が年1.4日あれば、近隣の10台を月極で借りても元が取れる

ブライダルフェアの日に、見学に来た二人が駐車場に入れず、そのまま帰ってしまう。会場にとっては、いちばん悔しい取りこぼしの一つです。広告費も、予約の手間も、案内の準備も、すべて使ったうえで、建物に入る前に終わってしまうからです。

駐車場の台数は、建てたときに決まったまま、見直されないことが多い数字です。「うちは50台あるから足りている」という言い方を、僕は何度か聞いたことがあります。けれど、足りているかどうかは、台数ではなく、同じ時間に何台の車が敷地にいるかで決まります。

結論から書きます。仮の式場で、披露宴が90人の2組、見学が6組、スタッフが10台という日を置くと、ピークの車は52台です。50台の駐車場は、満車になります。近隣の駐車場を10台、月極で借りると年120万円。満車の日に諦める見学が2組、成約率30%、粗利140万円という前提なら、満車の日が年1.4日あれば元が取れます。

この記事の数字は、出典のある統計ではありません。台数も、車で来る割合も、会場の立地で大きく違います。前提を先に並べるので、自分の会場の数字に替えて読んでください。

前提を先に置きます

使う前提は、すべて仮置きです。実在の会場の実績ではありません。

  • 駐車場は50台
  • フェアの日(土日)は、披露宴が午前と午後の2組。1組あたりゲスト90人
  • ゲストのうち車で来る人は50%。1台に平均2.5人が乗る
  • スタッフ、業者、新郎新婦の車で、常に10台が埋まっている
  • 見学は1日6組が車で来て、1組あたり約2.5時間(見学と試食)、1台を使う
  • 見学に来て満車で諦めた二人が成約していた確率は30%、1組の粗利は140万円(フルプラン)

粗利140万円と成約率30%は、このメディアの他の記事と同じ仮置きです。この2つを掛けると、見学1組の期待値は42万円になります。満車で帰った1組の損は、この42万円で数えます。

台数ではなく「同時にいる車」で数える

駐車場は、座席と同じです。ある時刻に、何台が停まっているか。入れ替わりの早さではなく、重なりで決まります。

車の数は、4つに分けて足すと見えます。

  • スタッフと業者の車:10台(日中ずっと)
  • 披露宴のゲストの車:90人×50%÷2.5人=18台(1組あたり)
  • 見学の車:その時間帯に滞在している組の数
  • 新郎新婦や親族の車:スタッフ側に含めて10台に入れている

ゲストの18台は、披露宴の前後で動きます。受付の30分前から車が増え、お開きのあとに一斉に出ます。その間、見学の二人は2.5時間いる。ここが重なります。

午前の披露宴のお開きと、午後の披露宴の受付は、時間が近づく会場が多いはずです。仮に1時間重なるとします。このとき、敷地にいるのは、午前のゲスト18台と午後のゲスト18台、合わせて36台。スタッフ10台を足して46台です。見学は、午後の早い時間に入った組がまだ滞在していて、仮に6組が重なると、52台になります。

  • スタッフ・業者:10台
  • 披露宴ゲスト:18台×2組=36台
  • 見学:6台
  • 合計:52台

50台の駐車場は、2台足りません。来る二人は、運が悪いと入り口で満車の表示を見ます。

変わるのは、車で来る割合とゲストの数

この52台は、前提を少し動かすと簡単に変わります。ゲストの数と、車で来る割合の2つが効きます。スタッフ10台と見学6台は固定で、ゲストの台数だけを動かした表です。

  • ゲスト60人:車の割合40%で35台、50%で40台、60%で45台、70%で50台
  • ゲスト90人:40%で45台、50%で52台、60%で59台、70%で66台
  • ゲスト120人:40%で54台、50%で64台、60%で74台、70%で83台

この表は、披露宴が2組重なる日のピークです。駐車場が50台の会場なら、ゲスト60人で車の割合が70%のときだけがぎりぎり。90人なら、車が50%を超えると足りなくなります。120人なら、車が40%でも足りません。

僕がここで言いたいのは、車で来る割合は、立地でまったく違うということです。駅から近い都市型の会場なら、車は20%もいかないかもしれません。郊外の会場なら、70%を超えることもあります。さらに、ゲストの年齢が高い披露宴ほど、車の割合は高くなりがちです。割合を知らずに台数を語るのは、分母のない比率と同じです。

自分の会場の割合は、過去の披露宴の「駐車場の利用台数」を、担当者に聞けば出ます。招待状の返信に「お車で来場」の欄を持っている会場も多く、あれば一番正確です。

満車で失うもの

満車で何を失うか。ここを、見学の側から見ます。

見学に来た二人は、満車の表示を見たら、次のどれかをします。待つ、近くのコインパーキングを探す、帰る。待てる二人は待ってくれます。コインパーキングを探す二人は、見学の開始に遅れ、最初の10分が焦りになります。帰る二人は、予約をキャンセルします。

仮に、満車の日に見学6組のうち2組が諦めるとします。この2組は、他の式場の見学にも行ける二人です。

  • 諦めた2組の期待値の損:2組×30%×140万円=84万円

つまり、満車になった日は、1日で84万円ぶんの期待値が落ちます。毎週は起きなくても、年に2日起きれば168万円です。

もう一つ、数字に出にくい損があります。満車で入れた二人も、駐車に手間取った日は、見学の印象が下がります。入り口で10分待たされた二人が、見学の終わりに「ここにします」と言うとは、あまり思えません。こちらは数えません。数えないぶん、実際の損は計算よりも大きいはずです。

借りるなら、月極と日貸しのどちらか

満車を避ける手は、いくつかあります。ここでは、近隣の駐車場を借りる2つの方法を比べます。

月極で10台を借りる場合

  • 1台あたり月1万円(仮置き)
  • 10台×12か月=年120万円
  • 満車で諦める見学の損は、1組あたり42万円。年120万円を取り戻すには、年2.86組を取り戻す必要がある
  • 満車の日に諦める組が2組なら、満車の日が年1.4日あれば足りる
  • 満車の日に諦める組が1組なら、年2.9日。3組なら、年1.0日

日貸しで10台を借りる場合

  • 1台あたり1日1,500円(仮置き)。10台で1日1.5万円
  • 誘導員を1人、5時間置く。時給1,300円で6,500円
  • 1日あたり2.15万円
  • 満車になる日だけ借りれば、年55日までは月極より安い(120万円÷2.15万円)

年間の土日は約104日あります。日貸しで年55日まで安いということは、土日のおよそ半分より少ない日数で満車になる会場なら、日貸しのほうが得です。逆に、土日のほとんどが満車になる会場は、月極のほうが安くなります。

ただ、日貸しには条件があります。満車になる日を、前もって分かっていることです。当日の朝に「今日は混みそうだ」と気づいても、近隣の駐車場に頼むには間に合わないことが多いはずです。

満車の日は、予約表から前の週に数えられる

満車の日は、実は、予約表からかなり読めます。次の3つが分かれば、前の週に判断できます。

  • 披露宴の組数と、それぞれのゲスト数
  • 披露宴の開始と終了の時刻(入れ替わりの重なりが何分か)
  • フェアの予約数と、開始の時刻

この3つを、土日の前の週の水曜までに表にして、ピークを計算します。表の作り方は難しくありません。

  1. 時間を30分刻みで縦に並べる
  2. スタッフ、披露宴ゲスト、見学の車を、時間ごとに足す
  3. 合計が駐車場の台数の90%を超える時間帯を探す
  4. 超える日だけ、日貸しの駐車場と誘導員を手配する

90%という線は、僕の置いた目安です。車は、満車の手前から出入りに時間がかかります。停める場所を探して、ぐるぐる回る車が出るからです。45台の駐車場なら、台数が40台を超えたあたりから、入り口に影響が出ると考えておくのが安全です。

この表を作っておくと、フェアの予約を受ける側でも使えます。ピークの時間帯の見学枠だけ減らす、あるいは時間をずらすという手が打てるようになるからです。

見学の予約のとき、車で来るかを聞いておく

もう一つ、安く済む手があります。見学の予約のとき、「お車で来られますか」と聞くことです。

聞く目的は二つあります。一つは、台数が数えられること。6組のうち何組が車なのかが分かれば、ピークの計算が現実に近くなります。仮に6組すべてを車と置きましたが、実際は半分かもしれません。もう一つは、車で来る二人に、混む日だけ別の案内を出せることです。「当日は駐車場が混み合うため、敷地の入り口から誘導員が案内します。お時間に余裕を持ってお越しください」と一言あるだけで、満車の表示を見たときの二人の動きは変わります。

この手当ては、お金がほぼかかりません。予約フォームに1項目足し、確認メールに2行足すだけです。年に1日でも満車を避けられれば、手間に見合います。

数字を自分の会場に置き換える

ここまでの計算は、すべて仮置きです。自分の会場で確かめる順番を書きます。

  1. 過去1年の土日の、披露宴の組数とゲスト数を拾う
  2. 招待状の返信か担当者の聞き取りで、車で来る割合と、1台あたりの人数を出す
  3. スタッフと業者の車の台数を、数えて出す
  4. 見学の予約数と、車で来る組の割合を拾う
  5. 30分刻みで合計を出し、駐車場の台数の90%を超えた日を数える

5で出た日数が、満車の日の目安です。1.4日を超えるなら、月極の検討に値します。年55日より少ないなら、日貸しのほうが安い。この二つの線の間に、自分の会場の日数が入ります。

数える前に決めておくとよいのは、「満車で諦める組数」の置き方です。この数字が記事の仮置きの要になっていて、会場ごとの実態が最も見えにくい部分です。見学のキャンセル理由に「駐車場」と書かれた件数があれば、それが下限になります。無ければ、今年は聞いてみるのが先です。

まとめ

  • 駐車場は、台数ではなく、同じ時間に敷地にいる車の数で足りているかが決まる
  • 仮の式場では、披露宴90人×2組と見学6組、スタッフ10台が重なると、ピークは52台で、50台の駐車場は満車になる
  • ピークを動かすのは、ゲストの数と、車で来る割合。割合は立地と年齢で大きく違うので、自分の会場の数字を先に出す
  • 満車で見学の1組が諦めると、期待値で42万円が落ちる。2組なら1日で84万円
  • 近隣10台の月極は年120万円。満車の日が年1.4日あれば元が取れる。日貸しは1日2.15万円で、年55日までは月極より安い
  • 満車の日は、披露宴の組数・時刻・フェアの予約から、前の週に数えられる
  • 見学の予約のときに車で来るかを聞くのは、ほぼ費用がかからない手当て