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結婚式場の相談カウンター紹介料は成約課金か来館課金かで損益が変わる

結婚式場の相談カウンターは、媒体費と違って「送客できたぶんだけ払う」形の集客チャネルです。固定費がかからないので、広告より安全に見えます。ただ、安全かどうかと、割に合うかどうかは別の話です。

結論を先に書きます。相談カウンターの紹介料は、金額の大小より、何に対して払うのかで損益が変わります。成約したときに払う契約なら、広告の1成約単価と直接比べられます。来館したときに払う契約なら、紹介経由の成約率が低いほど、1成約あたりの負担が一気に膨らみます。比べる相手は、広告の1成約単価です。

出典つきの数字は、慣行についての1件だけです。紹介料の相場や、カウンター経由の成約率を調べた公開調査を、僕は確認できていません。以下の金額と率は、すべて僕が置いた仮の前提です。自分の会場の契約書と実績に置き換えて読んでください。

紹介料は「誰が、いつ、何に対して」払うかの契約

相談カウンターの収益の形について、出典が確認できる記述は多くありません。その中で、2011年3月に株式会社アンプラグドが出したリリースは、従来の慣行を次のように書いています。相談カウンターがカップルを会場に紹介した場合、会場が相談カウンターに手数料を払うのが一般的だった、という説明です。同じリリースは、会場側の負担が大きくなることを、従来の仕組みの課題として挙げています。

これは15年近く前の、しかも手数料を取らない新しい相談所の発表です。今の相場や契約条件を示すものではありません。ここから言えるのは、「紹介の対価を会場が払う形が、少なくとも当時は標準だった」という構造だけです。

構造が分かっても、中身は会場ごとに違います。契約書を見ると、次の項目が決まっているはずです。

  • 紹介料の発生点:来館時か、成約(契約)時か、挙式実施時か
  • 金額の形:1組いくらの定額か、契約金額に対する率か
  • 取消しの扱い:契約後にキャンセルになったとき、紹介料は戻るのか
  • 紹介の定義:カウンターで予約した見学だけか、紹介後に別経路で来た場合も含むか
  • 有効期間:紹介から何か月以内の成約までが対象か

この5つのうち、損益に最も大きく響くのは1つ目の発生点です。以降は、発生点が成約か来館かで計算を分けます。

比べる相手は「広告の1成約単価」

最初に、基準を決めます。相談カウンターを使うか続けるかは、広告費と同じ物差しで判断できます。1成約あたりいくら払っているか、です。

仮に、ある式場が月60万円の媒体費で、月6組を成約しているとします。1成約単価は10万円です。月4組なら15万円、月10組なら6万円になります。媒体費は成約が少ない月も同じ額がかかるので、1成約単価は月ごとに揺れます。

相談カウンターが成約課金で、1成約あたり20万円だとします。そのまま比べると、広告の10万円より高く見えます。ここで早合点しないでください。広告の1成約単価には、広告に載せるための制作費や、反響対応の人件費が含まれていないことがほとんどです。カウンター経由は、予約が入った時点で来館までつながりやすいぶん、対応の手間が軽い場合もあります。ただし、この「手間が軽い」は僕の推測で、数字では確かめていません。

比べるときは、次の3つを同じ条件にそろえます。

  • 広告側:媒体費に、制作費と反響対応の工数を足した、成約1組あたりの費用
  • カウンター側:紹介料に、特典やおみやげの協賛費を足した、成約1組あたりの費用
  • 期間:直近6か月以上。1か月だけだと揺れで判断を誤ります

成約課金なら、読み方は単純

成約課金の場合、会場の負担は成約した組数に比例します。成約がなければ払いません。広告のように、反響がゼロの月にも費用がかかる形ではありません。

仮に、客単価400万円、粗利率35%、粗利140万円の会場で、紹介料20万円とします。紹介経由の成約は、粗利140万円から紹介料20万円を引いた120万円が残る計算です。紹介料が粗利に占める割合は、20万÷140万で約14%になります。

ここに、紹介経由の二人への特典や値引きが乗る場合があります。仮に5万円の特典を付けると、紹介料と合わせて25万円です。粗利に占める割合は約18%(25万÷140万)まで上がります。

成約課金の判断の線は、次のとおり単純です。

  • 紹介料+特典が、広告の1成約単価より低い:続けて、枠を広げてよい
  • 同じくらい:粗利への影響が小さいほうを選ぶ。紹介経由のほうが他社併願が多いなら、広告のほうを残す
  • 広告の1成約単価を大きく超える:広告に回したほうがよい。ただし広告で同じ組数が取れる前提が必要

最後の条件が見落とされがちです。広告費を増やしても、成約が同じ割合で増えるとは限りません。広告は出稿量を増やすほど、追加1組あたりの単価が上がりやすい性質があります。カウンターを止めるなら、その分の成約が広告で戻るかを、先に小さく確かめてください。

来館課金だと、成約率の低さがそのまま単価になる

来館課金の場合は、計算がまるで変わります。紹介された二人が来館した時点で、成約するかどうかにかかわらず紹介料が発生するからです。

仮に、来館1組あたり1万5,000円とします。この会場の成約率が、紹介経由で10%、20%、30%のとき、1成約あたりの紹介料は次のとおりです。計算は、1万5,000円を成約率で割ったものです。

  • 成約率10%:15万円
  • 成約率20%:7万5,000円
  • 成約率30%:5万円

同じ1万5,000円でも、成約率が10%なら15万円、30%なら5万円で、3倍の開きがあります。来館課金の契約は、金額の交渉より、紹介経由の成約率がどれくらいかの見立てが先です。

来館課金が成約課金より有利になるのは、紹介経由の成約率が高い場合だけです。上の例では、成約課金20万円と比べて、来館課金1万5,000円が割安になるのは、成約率が約7.5%を超えるあたりからです(1万5,000円÷20万円=7.5%)。紹介経由の成約率が7.5%を割るなら、成約課金のほうが得です。7.5%を超えるなら、来館課金のほうが得です。

ただ、この「超える」の中身に注意が必要です。紹介経由の来館は、複数の式場を一度に回る二人が多いと考えられます。相談カウンターの利用者は、まだ式場を絞っていない段階だからです。これも僕の推測で、数字の裏づけはありません。もしそうなら、紹介経由の成約率は、自社サイトから直接予約した二人より低くなります。

自社のデータで、紹介経由の成約率を出す

仮定を並べて判断するより、自分の会場の数字で確かめるほうが確実です。出すのに必要なのは、次の3つだけです。

  1. 直近12か月の、紹介経由の来館組数
  2. そのうち成約した組数
  3. 紹介料の支払総額(成約課金なら成約数×単価、来館課金なら来館数×単価)

12か月で来館が20組、成約が3組なら、成約率は15%です。来館課金が1万5,000円なら、支払総額は30万円、1成約あたり10万円です。成約課金が20万円なら、支払総額は60万円です。この例だと、来館課金のほうが半額で済んでいます。

ただし、来館20組は小さな母数です。1組の増減で、成約率は5%動きます。2組増えて成約が4組になれば20%で、1成約あたりは7万5,000円まで下がります。母数が小さいうちは、「だいたいこのあたり」と幅で捉え、1年分に延ばして見るか、複数年の平均を使ってください。

契約を結ぶ前に、確かめておく5項目

相談カウンターは、契約を結ぶ前と後で、会場側の交渉力が大きく変わります。最初の契約で次の5つを書面にしておくと、後で揉めにくくなります。

  • 発生点を成約にする、または成約時に精算する条項を入れる:来館課金しか選べない場合は、成約率が低い期間の見直し条項を入れる
  • 取消しの返金条件:契約後にキャンセルされたとき、紹介料を全額、または一部返す条件を決める
  • 紹介の定義と有効期間:紹介から何か月以内の成約を対象にするか。有効期間が長いと、別経路で来た二人にも紹介料が発生しかねません
  • 特典の負担者:二人への特典やおみやげを、会場が出すのか、カウンターが出すのか
  • 途中解約の条件:成果が出ないとき、何か月前の通知で止められるか

4つ目の特典は、地味ですが効きます。上の計算で、5万円の特典があるだけで粗利への割合が14%から18%に上がりました。紹介料の交渉が終わった後で、特典の話が出てくるのは避けたいところです。

続ける、広げる、止めるの分かれ目

最後に、判断の線を整理します。ここまでの計算は、すべて仮の前提です。自社の数字に置き換えたうえで、次の3つに当てはめてください。

続けて、枠を広げる

  • 紹介料と特典の合計が、広告の1成約単価より低い
  • 紹介経由の成約率が、自社サイト経由の成約率と近い
  • 契約後キャンセル時に、紹介料が戻る条件がある

そのまま続ける(広げない)

  • 紹介料と特典の合計が、広告の1成約単価と同じくらい
  • 紹介経由の件数が少なく、成約率が幅でしか分からない
  • 発生点が来館で、成約率が7.5%の線に近い

見直す、または止める

  • 紹介料と特典の合計が、広告の1成約単価を大きく超える
  • 紹介経由の成約率が、直近1年で継続的に低い
  • 紹介の定義が広く、別経路で来た二人にも紹介料が発生している

止める場合は、先に広告側へ予算を回して、同じ成約数が取れるかを1〜2か月試してください。広告側が追加分を吸収できないと分かったら、カウンターの紹介料が高く見えても、続けたほうがよい場合があります。

まとめ

  • 相談カウンターの紹介料は、金額の大小より、成約課金か来館課金かで損益が変わる
  • 慣行としては、紹介の対価を会場が払う形が、少なくとも2011年時点では標準だったとされる(アンプラグドのリリース)
  • 比べる相手は、広告の1成約単価。制作費や反響対応の工数も足してそろえる
  • 成約課金は、紹介料と特典の合計を、広告の1成約単価と直接比べる
  • 来館課金は、紹介料を紹介経由の成約率で割ると1成約あたりの負担になる。仮に1万5,000円なら、成約率10%で15万円、30%で5万円
  • 成約課金20万円と来館課金1万5,000円の分かれ目は、成約率7.5%
  • 契約前に、発生点・取消しの返金・紹介の定義と期間・特典の負担者・途中解約の5つを書面にしておく
  • 止める前に、広告側が追加の成約を吸収できるかを小さく試す