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仏滅の土日を割り引くと、仮の式場では10%なら3.3組、20%なら10組増えないと元が取れない。深く下げるほど、すでに仏滅で決めていた二人への値引きが重くなる

土日の仏滅は、予約表が白いまま残りやすい日です。会議で「仏滅は空いているので、割引プランを作りましょう」という話が出るのは、どの式場でも自然な流れだと思います。空いている枠が埋まれば、固定費は変わらないまま粗利だけが増えるように見えるからです。

結論から書きます。仏滅の土日を割り引くと、仮の式場では、10%引きなら年3.3組、20%引きなら年10組、30%引きなら年30組の追加がないと元が取れません。30組は仏滅の空き枠24を超えているので、30%引きは、計算の上では成り立ちません。下げる幅が2倍になると、必要な追加組数は3倍になります。理由は、割引が新しく来る二人だけでなく、割引がなくても仏滅で決めていた二人にも効いてしまうからです。

この記事の数字は、すべて僕が置いた仮のものです。調査の数字は1つも使っていません。仏滅の土日が年に何日あるか、そのうち何枠が埋まっているか、粗利がいくらか。自分の会場の数字に置き換えて使ってください。置き換える場所は、途中で何度か書きます。

仮の式場の前提

まず、数字をそろえます。

  • 土日は年104日。六曜はおおむね6日に1回めぐるので、仏滅の土日は年に約17日(104÷6)と置く
  • 1日に挙式を2組まで受けられる。仏滅の土日の枠は、年34枠
  • 仏滅の土日に入っている挙式は、いまは年10組
  • 総額の平均は350万円。料理・装花・衣装などの変動費が210万円で、粗利は1組140万円
  • 割引は総額から値引く形で行い、値引いた額がそのまま粗利から減る

34枠のうち10組が入っているので、空きは24枠です。稼働率は3割に届きません。「ここが埋まれば」と考えたくなる数字です。

仏滅の土日が年17日というのは、平均の目安です。年によって増減するので、自分の会場の今年の暦で数え直すと確かです。曜日と六曜の並びは、年ごとに少しずつずれていきます。

割引は、誰に効くのか

割引プランを作ると、仏滅の土日を選ぶ二人は、全員がその値引きを受けます。ここに、計算の落とし穴があります。

仏滅の土日で挙式する二人は、次の3つのグループに分かれます。

  1. もともと仏滅で決めていた二人。日柄を気にしないので、割引がなくても仏滅の土日を選んでいた。仮の式場では年10組
  2. 割引があったから仏滅に来た二人。割引がなければ、他社か、別の日にしていた。ここが「追加」の組
  3. 大安や友引から仏滅へ移ってきた二人。本来なら大安などの土日で決めていたのに、割引を見て仏滅に替えた

粗利が増えるのは、2番目のグループだけです。1番目のグループは、割引がなくても来たので、割引の額だけ粗利が減ります。3番目のグループも、別の日で決まっていた契約が仏滅に移っただけなので、増えたのは値引き額ぶんの損です。

つまり、割引の損益はこう書けます。

追加の組数 × 割引後の粗利 − 既存の10組 × 値引き額 − 移ってきた組 × 値引き額

後ろの2つは、割引を作った瞬間に確定します。前の1つが、その穴を超えられるかどうか。割引の判断は、これだけの話です。

割引率ごとの必要組数

まず、大安などから移る組がゼロの場合の計算です。

割引率 値引き額 割引後の粗利(1組) 既存10組への値引き 元が取れる追加組数
5% 17.5万円 122.5万円 175万円 1.4組
10% 35万円 105万円 350万円 3.3組
15% 52.5万円 87.5万円 525万円 6.0組
20% 70万円 70万円 700万円 10.0組
30% 105万円 35万円 1,050万円 30.0組

割引率が上がると、2つの力が同時に働きます。1つは、既存の10組に払う値引き額が、割引率に比例して増えること。もう1つは、新しく来る二人の粗利が、割引率が上がるほど薄くなることです。分子が増えて、分母が減る。だから必要な組数は、割引率に比例するどころか、それ以上に増えます。10%から20%に上げると割引率は2倍ですが、必要な組数は3.3組から10組へ、3倍になります。

30%の行は、必要な追加が30組です。仏滅の空きは24枠しかないので、全部の空きが埋まっても足りません。どれだけ集客できても損になる設計です。

大安から移る二人が混じると

次に、3番目のグループを入れます。割引率10%と20%で、大安などから仏滅へ移ってくる組が0、2、4組いるとして、元が取れる追加組数を出します。

割引率 移ってくる組 元が取れる追加組数
10% 0組 3.3組
10% 2組 4.0組
10% 4組 4.7組
20% 0組 10.0組
20% 2組 12.0組
20% 4組 14.0組

移ってくる組が1組増えるごとに、必要な追加組数は、10%なら約0.33組、20%なら1組ずつ増えます。20%で4組が流れてくると、追加で14組が要ります。仏滅の空き24枠のうち14枠を新しく埋めるのは、かなり重い要求です。10%なら4.7組で済みます。

大安から仏滅へ流れる二人が実際にどのくらいいるのか。ここに、決まった数字はありません。ただ、流れが起きやすい条件は考えられます。

  • 割引が公式サイトの目立つ場所に出ている
  • 日取りを決める前の二人が、料金表を横に並べて見ている
  • 仏滅を気にする度合いが、二人の間でそれほど強くない

日取りを決めていない二人が、料金表を見て「仏滅のほうが安いなら」と動くのは、自然なことです。

割引ではなく、特典にする手もある

値引きの損が大きいのは、値引きがそのまま粗利から出ていくからです。これを、原価の低い特典に置き換えると、損の形が変わります。

たとえば、割引の代わりに、次のような特典を考えます。

  • ウェルカムドリンクの追加
  • 前撮りのカット数の追加
  • 装花の格上げ

二人が受け取る額(定価ベース)が35万円相当でも、会場側の原価がたとえば10万円で済むなら、1組あたりの粗利の減り方は35万円ではなく10万円です。10%引きと同じ見え方で、損は3分の1以下になります。

ただ、ここも仮の話です。特典の原価が実際にいくらかは会場ごとに違うので、自分の原価表で出し直してください。条件は2つあります。

  1. 特典は、定価で見たときの価値が大きいもの。原価が低くても、二人にとって価値が低ければ、動機になりません
  2. 既存の10組にも、その特典が付く。もともと仏滅で決めていた二人にも同じ特典を出さなければ、あとから不公平を指摘されます

2つめの条件があるので、特典にしても、既存の10組への負担はゼロにはなりません。損の形が小さくなるだけです。

割引を作る前に、数える数字

ここまでの計算は、仮の数字でした。自分の会場でやるには、次の4つを数えます。どれも予約システムや契約台帳で、1時間もかからずに出せます。

  1. 仏滅の土日が、今年は何日あるか。暦を見て数えます
  2. そのうち、何枠が埋まっているか。既存の組数です。多いほど、割引の穴は大きくなります
  3. 仏滅の土日を選んだ二人が、なぜ仏滅を選んだか。契約時の聞き取りメモに、日柄を気にしないという記載があるか。あれば、割引がなくても来る二人です
  4. 仏滅の土日を、問い合わせの段階で断った数。日取りの希望が仏滅の土日で、空きがあったのに他社に決めた二人は、割引の対象になりうる二人です

特に4つめは、見落としがちです。「空いているから割引を」と考える前に、「空いているのに来なかった二人はいるか」を確かめます。空きがあるのに問い合わせが来ていないなら、割引をしても、そもそも仏滅を探している二人がいません。値引きで動く二人の数が少ないのです。

探している二人が少ない日は、値引きが効かない

割引で動くのは、仏滅の土日を探している二人です。その人数が少ないなら、割引率を上げても、追加の組数は伸びません。

たとえば、仏滅の土日に希望を出す二人が年8組しかいない会場を考えます。割引率を10%にしても20%にしても、追加で来る最大は、その8組のうち、他社に流れていた分だけです。20%引きで必要な追加が10組なら、8組がすべて追加でも届きません。元が取れない設計です。

反対に、仏滅の土日を探している二人が多い会場では、割引の効きが大きくなります。年に40組が仏滅の土日を問い合わせてくるなら、10%引きで3.3組を増やすのは、むずかしくありません。

つまり、割引の前に、需要の大きさを見ます。需要が小さいなら、割引より別の手が合います。

  • 仏滅の土日は、挙式をやめて、フォト撮影やパーティーに貸し出す
  • 仏滅の価格は、大安の平日より少し下げる程度にとどめる
  • 割引は出さず、フェアの特典に含めて、見学の理由にする

どれが合うかは、会場の稼働の形で決まります。

割引を出すなら、小さく、期限をつけて試す

それでも割引を試すなら、損の上限を決められる形で出します。

  1. 割引率は5%か10%にする。上の表で、必要な追加組数が1.4組か3.3組で済む幅です
  2. 対象は、新しく契約する二人に限る。すでに契約した10組に遡って適用するかどうかは、契約書の約束と照らして決めます
  3. 期間を区切る。たとえば、次の6か月に挙式する仏滅の土日だけ。区切ると、割引の効き目を測れます
  4. 期間が終わったら、追加で入った組数を数える。必要な組数に届いたか、届かなかったか

期限をつけるのは、「今月末まで」と煽るためではありません。割引を常設にすると、二人が「この会場は仏滅だと安くなる」と覚えてしまい、定価の仏滅がなくなるからです。仏滅の価格そのものが下がった状態が、通常になります。期間と対象を決めて試し、結果を数えて、続けるか戻すかを決める。順番を逆にしないことです。

計算に入れていない点

この計算は、割引の損益の骨組みだけです。ほかにも、動かすべき数字があります。

  • 口コミや紹介への影響。仏滅の割引で来た二人が、定価の二人と比べて、不満を持ちやすいかどうか。これは数字にしていません
  • 人件費・光熱費。追加で入る組が増えると、当日のスタッフ配置が増えます。仮の式場では、変動費の210万円に含めていると考えています
  • 割引で来た二人が、オプションを多めに買うか。割引で総額が下がったぶん、オプションで取り戻せるなら、粗利の減り方は小さくなります。逆に、オプションを買わないなら、仮の数字より損が大きくなります

自分の会場では、過去の仏滅の契約者の平均総額と、大安の契約者の平均総額を比べるだけで、おおまかな傾向が見えます。仏滅の契約者のほうが総額が低いなら、仏滅で決める二人は、予算に敏感な二人かもしれません。その二人に割引を出すと、総額はさらに下がります。

まとめ

  • 仏滅の土日を割り引くと、割引はもともと仏滅で決めていた二人にも効き、その値引き額が確定した損になる
  • 仮の式場(仏滅の土日34枠、既存10組、粗利140万円)では、10%引きで追加3.3組、20%引きで10組、30%引きで30組が必要。30%は空き枠24を超え、成り立たない
  • 割引率が2倍になると、必要な追加組数は3倍になる。値引き額が増え、新しい契約の粗利が薄くなる、2つが同時に働くから
  • 大安などから仏滅へ移る組が混じると、必要な追加組数はさらに増える。20%で4組が移ると14組
  • 割引の代わりに原価の低い特典にすると、損の形は小さくなる。ただし既存の10組にも同じ特典が要る
  • 割引を作る前に、仏滅の土日を探している二人が何組いるかを数える。需要が小さければ、割引は効かない
  • 試すなら、5〜10%で、対象と期間を区切り、終わったら追加の組数を数える