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披露宴のあとの二次会を会場で受けると、仮の式場では1件の粗利が19万円。無料の特典にすると11万円まで落ち、夜枠が売れる確率が1割を超える日は受けないほうがいい

披露宴が終わったあと、二人は二次会の会場を探します。披露宴をした式場の同じ宴会場や、同じ建物のラウンジで、そのままアフターパーティを受けられれば、二人は移動と会場探しの手間が減ります。式場にとっても、夜の空いた時間を売上に変えられます。

ただ、この話は「受ければ増収」と言い切れません。夜の枠は、別の披露宴に売れるかもしれない枠でもあるからです。さらに、二次会を契約特典にして無料にすると、増収どころか持ち出しの側に回る日が出てきます。

結論から書きます。仮に、40人が参加して会費6,000円の二次会を、会場使用料8万円で受けるなら、1件の粗利は18.8万円です。年17件で319万円になります。ところが、会場使用料を契約特典で無料にすると、1件の粗利は10.8万円、年17件で184万円まで下がります。そして、その日の夜枠が別の披露宴に売れる確率が、有料なら13%、無料なら8%を超えるとき、二次会を受けるほうが損になります。

この記事の数字は、出典のある統計ではありません。二次会の参加人数も会費も会場使用料も、地域と会場でまったく違うからです。僕が置いた前提を先に並べ、どこを自分の数字に替えれば自分の会場の答えが出るかが分かるように書きます。

前提を先に置きます

計算に使う前提は、次のとおりです。すべて仮置きで、実在の会場の実績ではありません。

  • 年間の挙式は120組、来館は年400組、成約率は30%
  • 1組あたりの粗利は140万円(披露宴の契約1組が残す粗利。これまでこのメディアの計算で使ってきた置き方に揃えます)
  • 二次会は参加40人、会費は1人6,000円。会費は二次会の幹事(新郎新婦の友人)が集めて会場に払う
  • 飲食の原価率は40%
  • 二次会の運営に、スタッフが4人、5時間(準備と片付けを含む)つく。人件費は時給1,800円
  • 会場使用料は、有料で受ける場合に8万円。披露宴の宴会場の夜の貸切を、二次会向けに値付けした想定
  • 披露宴をした二人のうち、二次会をやりたい人は35%(120組のうち42組)。そのうち、同じ会場で受ける割合は4割(17組)

二次会をやる割合35%も、会場で受ける割合4割も、僕の置いた数字です。ここが一番ブレる部分なので、後で自社の数字に替える方法を書きます。

1件の粗利は、使用料の有無で10万円ずれる

まず、二次会1件で残る粗利を出します。

  • 飲食の売上:40人 × 6,000円 = 24万円
  • 飲食の粗利:24万円 × (1 − 0.4) = 14.4万円
  • 人件費:4人 × 5時間 × 1,800円 = 3.6万円
  • 会場使用料:8万円

使用料を取るなら、14.4万円 − 3.6万円 + 8万円 = 18.8万円です。使用料を取らない(契約特典で無料にする)なら、14.4万円 − 3.6万円 = 10.8万円です。差は、使用料の8万円そのものです。

年17件で並べると、次のとおりです。

  • 使用料あり:18.8万円 × 17件 = 約319万円
  • 使用料なし:10.8万円 × 17件 = 約184万円

使用料なしの184万円は、まだ黒字です。けれど、この数字は「夜の枠が、ほかに売れない」という前提の上に立っています。この前提を外すと、次の節の話になります。

人数と会費が動くと、1件の粗利はこう変わる

参加人数と会費で、使用料なしの粗利を並べます(原価率40%、人件費3.6万円は固定)。

  • 30人、5,000円なら、売上15万円、粗利5.4万円
  • 30人、7,000円なら、売上21万円、粗利9.0万円
  • 40人、5,000円なら、売上20万円、粗利8.4万円
  • 40人、7,000円なら、売上28万円、粗利13.2万円
  • 60人、5,000円なら、売上30万円、粗利14.4万円
  • 60人、7,000円なら、売上42万円、粗利21.6万円

この表から言えるのは、二次会の粗利は、人数よりも会費の1,000円に敏感だということです。40人の場合、会費が1,000円動くと粗利が2.4万円動きます。人件費の3.6万円はほぼ固定なので、30人でも60人でも、人数が増えるほど粗利は伸びます。逆に、小さい二次会(20人以下)は、人件費を払うと粗利がほとんど残りません。スタッフの数を3人に減らせれば、1件の粗利は1.8万円増えます(使用料なしで11.7万円)。5人にすれば9.9万円です。

つまり、二次会を受けるなら、「何人まで受けるか」の下限と、「スタッフを何人つけるか」を先に決めておくほうが、会費を競るよりも効きます。

一番の論点は、夜の枠が売れるかどうか

ここまでの粗利は、「夜の宴会場が空いている」という前提でした。人気日の夜に、別の披露宴(夜の部)が売れるなら、話は逆になります。

二次会1件の粗利(18.8万円)と、披露宴1組の粗利(140万円)を比べます。

  • 18.8万円 ÷ 140万円 = 0.134

その日の夜枠に披露宴が入る確率が13.4%を超えるなら、二次会を受けるより、枠を空けて披露宴を待つほうが期待値は上です。無料の特典にしたとき(10.8万円)は、10.8万円 ÷ 140万円 = 7.7%が境目です。

この確率は、「その日、夜の披露宴を頼みたい二人が、空いているのを見て予約するかどうか」で決まります。たとえば、人気日(大安の土日)の夜に、年に何回披露宴の申し込みがあるか。過去2年の実績で、同じ曜日・同じ時間帯の問い合わせが何件あったかを数えれば、おおよその確率が分かります。

分かれ目の考え方は、次の3つに整理できます。

  1. 夜の披露宴がそもそも売れない会場(夜の披露宴が年に数組)なら、確率は低く、二次会を受けてよい
  2. 夜も披露宴が回る会場(二部制をやっている会場)なら、確率が高い日が多い。その日は二次会を受けない
  3. 日によって違う会場は、人気日は断り、閑散日だけ受ける

二部制の損益は、別の記事で前提つきで計算しています。そこで見たように、人気日の夜枠は、披露宴1組分の粗利を持っています。二次会はその枠を「安く使う」選択です。

解放日を決めておく

実務で効くのは、「二次会の予約は、いつまで受けるか」を決めることです。

披露宴の契約は、挙式の1年近く前に決まります。二次会の希望が出てくるのは、早くて挙式の半年前、多くは3か月前です。そのときまで夜の枠を押さえておくと、その枠は売れ残りやすい。かといって、二次会を断ると、二人は外の会場に行きます。

そこで、次のようなルールを置きます。

  • 契約時に、「夜の枠を二次会に使えるのは、挙式の3か月前までに申し込んだ場合」と伝える
  • 3か月前の時点で、夜に披露宴が入っていなければ、二次会を受ける(受け入れ期限を決める)
  • 夜枠に披露宴の問い合わせが入っている日は、二次会を受けず、その日のうちに披露宴を優先する

こうすると、二次会は「空いたままの枠」だけを使う形になり、機会費用を減らせます。ただ、二人にとっては、二次会の会場が3か月前まで確定しないことになります。ここは、二人が外の会場を探す期間を奪わないように、早めに可否を返すことが条件になります。

契約特典にするなら、取り返す成約を先に決める

「二次会の会場使用料を無料にする」を、契約特典にする式場があります。仮の式場で、この特典の損益を出します。

  • 使用料8万円を無料にする分の持ち出し:17件 × 8万円 = 136万円
  • 取り返す成約:136万円 ÷ 140万円 = 約0.97組

つまり、この特典で成約が年1組増えれば、使用料の持ち出しは取り返せます。来館が年400組なら、成約率で0.24ポイントです。小さく見えます。

ただ、この計算には条件があります。17件は、特典を付けても使う二人の数です。特典を付けると、二次会を同じ会場でやりたい二人が増えるので、件数が17件から29件(42組の7割)に増えるかもしれません。そのときの持ち出しは、29件 × 8万円 = 232万円です。必要な成約は1.7組になります。

特典は、使われるほど持ち出しが増えるので、「使う人が増えたときに、成約も同じだけ増えているか」を確かめる必要があります。無料にして、使う人が7割になっても、成約が1.7組増えなければ、特典は費用でしかありません。

半額補助という中間案

使用料の全額を無料にするのではなく、半額にする案もあります。

  • 使用料を半額(4万円)にすると、1件の粗利は14.8万円
  • 17件で252万円、29件に増えれば429万円

全額無料の場合(17件で184万円、29件で313万円)に比べて、1件あたり4万円多く残ります。そのかわり、二人の目には「半額」が「無料」より小さく映ります。成約の後押しとしてどのくらい効くかは、仮置きでは出せません。自社の契約書の特典の欄を変えて、半年間の契約率を比べるしかありません。

自社の数字に替える手順

この記事の仮置きを、自社の数字に替える手順を書きます。

  1. 過去2年の挙式のうち、二次会をした二人の割合を数える(アンケートか、打合せの記録)
  2. そのうち、自社の会場を検討した二人の割合を数える
  3. 二次会の参加人数と会費の平均を、実際に受けた二次会があれば集計する
  4. 夜枠(18時以降)に披露宴の問い合わせが入った日を数える
  5. 人件費は、スタッフが実際につく時間を記録して出す

1と2で、仮置きの35%と4割が自社でどのくらいかが分かります。4は、確率の境目(13%と8%)と比べる数字です。5が仮置きの3.6万円と大きく違うなら、1件の粗利が大きく動きます。

判断の分かれ目を、4つに絞る

  1. 使用料を取るか:取るなら1件18.8万円、取らないなら10.8万円(仮置き)
  2. 夜枠が売れる確率:13%(有料)か8%(無料)を超える日は、二次会を受けない
  3. 受け入れ期限:契約時に、挙式の3か月前までと決める
  4. 特典にするなら、使う人が増えたときの成約の増え方を、半年ごとに確かめる

まとめ

  • 40人、会費6,000円、原価率40%の二次会は、会場使用料8万円を取れば1件の粗利が18.8万円、年17件で約319万円(仮置き)
  • 使用料を契約特典で無料にすると、1件10.8万円、年17件で約184万円。持ち出しの136万円を取り返すには、成約が年約1組増えればよい
  • 二次会の粗利は、人数よりスタッフの人数と会費の1,000円に敏感。小さい二次会(20人以下)は、人件費で粗利が薄くなる
  • 夜枠に披露宴が入る確率が、有料なら13%、無料なら8%を超える日は、二次会より披露宴の枠として残すほうが期待値は上
  • 実務の工夫は、二次会を受ける期限(挙式の3か月前)を決めて、空いたままの枠だけに使うこと
  • 特典は使われるほど持ち出しが増えるので、使う人が増えたときに成約も同じだけ増えているかを確かめる
  • この記事の数字は、すべて仮置きの前提による計算で、実在の会場の実績ではない